人向けの業務手順書を RPA 向けに書き直す(曖昧な表現をなくし、判断基準を数値にする)

公開日:2026年10月7日 執筆:Takuya カテゴリ:業務選定・設計

人が読むことを前提にした業務手順書は、そのままではロボットの設計に使えません。曖昧な表現の言い換え、判断基準の数値化、画面・項目単位での書き方を、書き直しの例とともに解説します。

人向けの手順書がそのまま使えない理由

業務の手順書は、読む人が業務の背景を知っていることを前提に書かれています。「内容を確認して問題なければ登録する」「金額が大きい場合は上長に確認する」といった書き方でも、人なら経験から判断できます。しかしロボットには、「何を見て」「どの条件なら」「どうする」が具体的に書かれていないと、その通りに作ることができません。

RPA の開発では、既存の手順書をもとに、ロボットが動ける粒度まで書き直す作業が欠かせません。この作業をしっかり行うと、開発中の手戻りが減るだけでなく、業務のルールそのものの曖昧さが見つかることもあります。

曖昧な表現をなくす

書き直しで最初に行うのは、曖昧な言葉を探して具体的な言葉に置き換えることです。よく出てくるのは次のような表現です。

  • 「適宜」「必要に応じて」:どの条件のときに行うのかを書く
  • 「確認する」:何と何を比べて、一致したら・しなかったらどうするのかを書く
  • 「問題なければ」:問題とは何かを列挙する
  • 「など」「その他」:対象をすべて書き出す。書き出せない分は人に回すと決める
  • 「早めに」「定期的に」:日時や頻度を書く

判断基準を数値やルールにする

人が経験で判断している部分は、数値や表にできないかを担当者と一緒に考えます。「金額が大きい場合」なら「税込金額が50万円以上の場合」、「古いデータ」なら「最終更新日が90日以上前のデータ」のように書き換えます。

どうしても数値にできない判断(文面のニュアンスを読む、取引先との関係を考慮する、など)は、無理にロボットに任せず、「この条件のものは人の判断に回す」と手順書に明記します。判断を人に残す部分をはっきりさせることも、書き直しの大事な成果です。

画面・項目単位で書く

ロボット向けの手順は、「どの画面の」「どの項目に」「何を入れるか」を1行ずつ書きます。画面名と項目名は、実際の画面の表示どおりに書いておくと、開発者が迷いません。入力する値も、元データのどの列から取るのか、変換が必要か(全角・半角、日付の形式など)まで書いておきます。

画面ごとに、操作の後にどうなれば成功なのか(「登録しました」と表示される、受付番号が表示される等)も書いておくと、ロボットに成功の確認を組み込みやすくなります。

書き直しのサンプル

架空の経費精算の手順を例に、書き直し前と後を比べます。

  • 書き直し前:申請内容を確認し、問題なければ承認する。金額が大きいものは上長に回す。
  • 書き直し後1:精算システムの「承認待ち一覧」画面で、申請を1件ずつ開く
  • 書き直し後2:「領収書添付」欄にファイルが1件以上あるかを確認する。0件なら「差し戻し候補(添付なし)」に記録して次へ
  • 書き直し後3:「申請金額」が税込5万円以上なら「上長確認」に記録して次へ(ロボットは承認しない)
  • 書き直し後4:「勘定科目」が科目一覧表にあるかを確認する。なければ「差し戻し候補(科目不明)」に記録
  • 書き直し後5:上記に該当しなければ「承認」ボタンを押し、「承認しました」の表示を確認して記録する

担当者と一緒に読み合わせる

書き直した手順書は、必ず業務の担当者と読み合わせをします。「この場合はどうしていますか」と例外を一つずつ確認していくと、手順書に書かれていなかった判断がたくさん見つかります。こうして固めた手順書は、そのままロボットの仕様書として使え、稼働後の保守や引き継ぎでも役に立ちます。業務の洗い出しから分割までの全体の流れは、開発の進め方の記事で紹介しています。

※BizRobo! は RPA テクノロジーズ株式会社の製品です。本サイトは同社とは関係のない個人の解説サイトです。画面や機能の名称は、製品のバージョンによって異なる場合があります。

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